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猫の便秘

2026年9月30日(水)

猫の便秘と巨大結腸症

 

はじめに

猫の便秘は、日常診療で比較的よく遭遇する疾患です。便秘が長期間持続すると結腸が拡張し、自力で便を送り出す機能が低下した「巨大結腸症」へ進行することがあります。巨大結腸症では内科治療への反応が乏しくなる場合もあり、早期診断・早期治療が重要です。

 

原因

猫の便秘の原因はさまざまです。脱水や運動不足、食事内容の変化、疼痛などによる一過性のものから、骨盤狭窄、神経疾患、腫瘍などの基礎疾患によるものまで幅広く認められます。一方で、明らかな原因が特定できない特発性巨大結腸症も少なくありません。

 

主な症状

便秘の猫では、排便回数の減少や排便時のいきみ、少量の硬い便の排泄などがみられます。症状が進行すると、食欲低下、嘔吐、元気消失を伴うこともあります。また、腹部触診で硬い便塊を触知することがあります。

 

 

診断

診断には、問診・身体検査に加え、腹部レントゲン検査が有用です。レントゲンでは結腸内への便の貯留や結腸の拡張を評価し、骨盤狭窄などの原因疾患の有無も確認します。

巨大結腸症の目安としては、一般的に第7腰椎椎体長に対する結腸最大径の比(結腸径/L7比)が約1.5以上であることが参考にされています。ただし、この数値のみで確定診断とするのではなく、これまでの排便状況の経過や身体検査の所見、治療への反応なども併せて総合的に評価することが重要です。

 

上図:巨大結腸症の猫の下腹部レントゲン(紫色の線は第7腰椎椎体長、黄緑色の線は結腸最大径)

 

治療

軽度から中等度の便秘では、浣腸や摘便、輸液療法を行い、必要に応じて下剤(ラクツロースなど)や食事療法を併用します。

一方、巨大結腸症では内科治療のみでは改善が得られないこともあります。再発を繰り返す症例や重度の症例では、結腸亜全摘術などの外科治療を検討します。

 

おわりに

猫の便秘は、早期に適切な治療を行うことで改善が期待できる疾患です。しかし、慢性化すると巨大結腸症へ進行し、治療が難しくなる場合があります。排便回数の減少や排便時のいきみなどの異変がみられた際には、早めに動物病院を受診することが大切です。

当院では、身体検査や画像検査をもとに原因を評価し、それぞれの症例に応じた治療をご提案しています。

 

獣医師 井戸