
治療例 CASES
前庭症状
2026年9月30日(水)
愛犬が急に首をかしげる、ふらつく…
それは「前庭疾患」かもしれません 
「急に首が傾いた」
「まっすぐ歩けず、ふらふらしている」
「目が細かく動いている」
「ぐるぐる同じ方向に回ってしまう」
このような症状が突然現れると、とても驚かれると思います。
これらは「前庭症状」と呼ばれ、体のバランスを保つ働きをしている「前庭」という器官に異常が起こることでみられます。
前庭疾患には大きく2つのタイプがあります
① 末梢性前庭疾患
耳の奥(中耳・内耳)の異常によって起こるタイプです。
代表的な原因には、
- 特発性前庭疾患(高齢犬に多く、原因が特定できないもの)
- 中耳炎・内耳炎
- 耳の腫瘍
- 外傷
などがあります。
命に関わる病気でないことも多く、適切な治療や時間の経過によって改善する犬も少なくありません。
② 中枢性前庭疾患
脳(脳幹や小脳)の異常によって起こるタイプです。
代表的な原因には、
- 脳腫瘍
- 脳梗塞
- 脳出血
- 脳炎
などがあります。
中枢性前庭疾患では重い病気が隠れている場合もあり、MRIなどの精密検査が必要になることがあります。
こんな症状がみられたら早めに受診しましょう
前庭疾患では、次のような症状がみられます。
- 首が片側に傾いている
- ふらつく、立てない
- 同じ方向へ倒れる
- ぐるぐる回る
- 目が左右や上下に細かく動く(眼振)
- 吐き気や嘔吐
- 食事や水をうまく飲めない
これらの症状が急に現れた場合は、できるだけ早めの受診をおすすめします。
特に注意が必要な症状
次のような症状を伴う場合は、脳の病気が隠れている可能性もあるため、早急な検査・治療が必要になることがあります。
- 意識がぼんやりしている、反応が鈍い
- けいれんを起こした
- 四肢に力が入らない、麻痺している
- 症状が急速に悪化している
- 繰り返し激しく嘔吐している
診断はどのように行うの?
まずは神経学的検査や耳の診察を行い、耳が原因なのか、脳が原因なのかを判断します。
必要に応じて、
- 血液検査
- レントゲン検査
- CT・MRI検査
などを組み合わせて原因を調べます。
治療について
治療は原因によって異なります。
耳の感染が原因であれば抗菌薬、炎症が関係していれば抗炎症薬などを使用します。また、吐き気が強い場合には吐き気止めなどで症状を和らげる治療を行います。
前庭疾患は治るの?
原因によって経過は異なります。
特発性前庭疾患では、数日で症状が落ち着き始め、数週間から数か月かけて改善する犬も多くいます。一方で、脳の病気が原因の場合は、原因に応じた専門的な治療が必要になります。
見た目の症状はとても強く現れるため驚かれることが多い病気ですが、適切な診断と治療によって改善が期待できるケースも少なくありません。
「様子を見ても大丈夫かな?」と迷われた際は、自己判断せず、お早めに当院までご相談ください。
獣医師 岡田
