治療例 CASES
3歳猫の誤食(ミシン糸)
2023年2月3日(金)
※この下に手術中の写真があります。抵抗のある方はご遠慮ください。
今回は猫ちゃんのヒモ状異物についてご紹介いたします。
3歳の女の子の猫ちゃんです。
ミシン糸を食べてしまったかもしれなく何度も吐いていると来院されました。
超音波検査を行うとミシン糸(黄色矢印)と思われるものと蛇行した小腸(青矢頭)を認めました。

飼い主様にミシン糸により腸管の閉塞の可能性が高いとお話し、全身麻酔下による内視鏡と開腹を実施しミシン糸を摘出する手術を計画しました。

内視鏡検査では、食道から小腸にかけてミシン糸を認めました。
内視鏡の鉗子にて摘出を試みましたが、ミシン糸は動かず無理に引っ張ると腸管が破れる可能性があるため開腹手術を行い、腸管を切開してミシン糸の摘出を行いました。

腸管の中でどこまで糸が引っかかっているか分からないため、内視鏡を使用しながら開腹下で詰まっている個所を確認し切除しました。

詰まっていたミシン糸の先端が糸玉を形成していました。
1m程度のミシン糸が摘出されました。
術後は腸管の離開がないか確認し、翌日から飲水を開始し翌々日からやわらかいご飯を食べ始めました。この猫ちゃんは経過は良好で術後4日目に退院しました。
猫ちゃんの異物の誤食は放置すると重症化することがありますが、すぐに開腹ということはありません。当院では血液検査や超音波検査、レントゲン検査、バリウム検査、内視鏡検査などを実施し異物が腸管を閉塞しているか慎重に判断し開腹を実施しています。
『食べてはいけないものを食べてしまって大丈夫かな』や『食欲なくて何度も吐いている・・・』などあればまずお気軽にご相談ください。
獣医師 小野和徳