治療例 CASES
精巣腫瘍(セルトリ細胞腫/セミノーマ)
2024年7月3日(水)
今回は精巣腫瘍(セルトリ細胞腫/セミノーマ)についてご紹介します。
※この下に手術中の写真があります。抵抗のある方はご遠慮ください。
概要
犬、猫は生まれた直後は、精巣はお腹の中に入っていて生後1-2ヶ月齢くらいで陰嚢内に精巣が降りてきます。ただ稀に精巣が陰嚢に降りず、お腹の中にずっと入ったままの場合があります(陰睾(いんこう))。
陰睾は精子が作られないだけではなく様々な悪影響が出ることがあります。主なものとして、
・精巣の腫瘍化が起こる場合がある(発生するリスクが最大20倍)
・精巣が捻転を起こし急性症状を発症する場合がある
・腫瘍の一部はエストロジェンを分泌し骨髄抑制などの命に関わる症状が出ることがある
があり、当院では陰睾を認めた犬猫は早期に開腹手術にて摘出することをお勧めしております。
今回紹介する症例は13歳のワンちゃんです。
他病院にて前立腺、もしくは膀胱に腫瘍がありステロイドの治療を受けていたが体調不良が続きセカンドオピニオンとして来院されました。
レントゲン検査にて大きな腫瘤を認めました。またエコー検査にて前立腺、膀胱は異常な
いことを確認しました。
以上により前立腺の腫瘍というより、陰睾があるという既往歴があったため精巣腫瘍の可能性が高いことを考え相談の上、手術を実施しました。
手術は腫瘍が周囲の臓器に癒着していましたが、丁寧に剥がし摘出しました。10cmほどの大きな腫瘍が摘出されました。
病理検査を実施するとセルトリ細胞腫とセミノーマという腫瘍が混ざった精巣腫瘍でした。この精巣腫瘍は転移や全身症状を起こしてしまうこともありますが、このわんちゃんは幸いにも術後1年以上経過しても、大きな問題は起こらず元気よく過ごしています。
当院では陰睾は若いうちに摘出してしまうことをおすすめしています。気になることがあればご相談ください。
獣医師 小野和徳