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猫の糖尿病(Diabets mellitus:DM)

2024年7月29日(月)

糖尿病とは?

血液中のぶどう糖(血糖値)を調整するために、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。このインスリンが上手く機能されずに高血糖の状態が続く病気を糖尿病といいます。

糖尿病の原因

猫ちゃんではインスリンは分泌されるものの、その働きが悪くなり(インスリン抵抗性)発症するⅡ型の糖尿病が多いと言われています。

その原因として高炭水化物の食餌や肥満、慢性膵炎等の病気が挙げられます。

 

糖尿病の診断

⓵飲水量、尿量の増加等の症状

②持続的な高血糖

③尿糖陽性

 

上記の事が認められる場合は糖尿病が強く疑われます。

 

糖尿病の治療

基本的には注射でインスリンの投与を継続する必要があります。ご自宅で飼い主さんに注射してもらう事になりますが、当院では注射の仕方等しっかりサポート致しますのでご安心ください。

 

また、現在のインスリンの投与量が正しいかを判断するために一日かけて血糖値を測定する必要があります。

当院では猫ちゃんに半日入院してもらい数時間置きに採血を実施し血糖値を測定する方法と、2週間で使い捨てのセンサーを装着し、ご自宅のスマートフォンで血糖値を測定する方法のどちらかをご提案させて頂いています。

※このセンサーは本来ヒト用の医療機器のため、動物に装着した場合上手く作動しない事があります。あらかじめご了承ください。

 

 

またインスリン治療の他に炭水化物を制限した食餌療法も大切になります。

 

血糖値のコントロールが上手くいかない状態が続くと『糖尿病性ケトアシドーシス』といった、体の中の糖を利用できず脂肪が分解され、その結果ケトン体が体に溜まり危険な状態になることがあります。

糖尿病の治療中に下痢や嘔吐、食欲がなくなるといった症状が認められた場合はすぐに入院での治療が必要な可能性があるため早めの受診をお勧めします。

 

 

糖尿病は、インスリン治療で血糖値のコントロールが上手く行けば寿命を全うする事が出来る病気です。

猫ちゃんによっては治療中にインスリンの投与が必要なくなる子もいます。

もしも肥満の猫ちゃんで、お水を飲む量が増えた等の症状が出た場合はお気軽に当院にご相談ください。

これからも定期的な健診を行いましょう。

獣医師 井戸俊佑