診療時間表

治療例

治療例 CASES

犬のニキビダニ症

2024年7月3日(水)

今回は犬のニキビダニ症(毛包虫症)についてのご紹介です。

 

皆さんは“ダニ”ときくと肉眼で見ることのできる“マダニ”を思い浮かべる方が多いと思います(SFTS感染症で重要視されてきていますよね!)。”ニキビダニ“は顕微鏡で確認しなければ分からないくらい小さなダニさんなんです。

概要
ニキビダニは健康な犬にも常在している外部寄生虫で、生後2−3日で母犬から感染し、毛包(毛根を包んでいる皮膚)や皮脂腺に移動して生涯を過ごします。健康であれば悪さをすることはありませんが、免疫が弱い子犬や、病気や免疫抑制剤の使用などで免疫力が低下したり、皮膚を掻いたり舐めすぎるなど強い刺激が加わると症状が起こる場合があります。

 

症状
脱毛
痒み
皮膚の赤みや発疹
フケの増加

 

診断
ニキビダニは皮膚の深くにある、毛包や皮脂腺に住んでいます。見つけるためには皮膚掻爬検査といって、症状が出ている皮膚を少し出血するくらいの力で皮膚を引っ掻き、とれた皮膚を顕微鏡で観察する必要があります。少し可哀想ですが、検査のためには必要です。出血はすぐに落ち着くので安心してくださいね。

 

治療
駆虫薬が基本となります。ただし背景にある病気を治療しないとすっきり治らないことがあるため、全身的な健康診断も必要になることが多いです。

当院でノミ・ダニ駆虫薬として処方している“ネクスガード™️”シリーズや“シンパリカトリオ™️”を使用して2−3ヶ月で良くなることが多いですが、投与頻度など通常の使用と異なる部分もあります。検査をしてニキビダニの数が健康な犬と同量に落ち着けば治療終了となります。食べるタイプのお薬が苦手なワンちゃんには注射薬も常備しているので、ご相談ください。

 

獣医師 中西彩乃