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前十字靭帯断裂について

2025年11月3日(月)

【概要】

前十字靭帯は、後ろ足の大腿骨と脛骨をつないでいる靱帯です。靱帯が断裂してしまうと膝の関節は安定感を失い、うまく足を付けなくなったり痛みで足を庇ったりすることがあります。比較的高齢のわんちゃんの発症が多く、小型犬から大型犬まで様々な犬種が発症します。

 

【診断】

歩行検査、触診、レントゲン検査を行います。

 

 

【治療】

まず内科治療を実施して、改善が乏しければ手術を検討します。内科治療は痛み止めの内服と安静を実施します。1から2週間ほど観察して、改善が乏しければ手術を検討します。

手術に関しては、①関節外法(膝関節に糸を通し膝を安定化させる)、②TPLO(Tibial Plateau Leveling Osteotomy:脛骨の骨切りを行い膝の関節の角度を変更する)の2種類を選択することが一般的です。また膝蓋骨脱臼を併発している場合は一緒に整復を行うことが多いです。


この2頭のわんちゃんは、前十字靭帯断裂と診断し、内科治療で改善を認めなかったため手術を実施しました。2頭とも関節外法で手術を実施しました。関節外法は、術後の安静期間が1-2ヶ月必要ですが、小型のわんちゃんでしたら良好な結果が得られることが多いです。

前十字靭帯断裂は後ろ足の跛行で良く遭遇する疾患です。気になることがあればいつでもご相談ください。

獣医師 小野和徳