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猫の甲状腺機能亢進症

2024年10月8日(火)

甲状腺機能亢進症とは?

甲状腺は体の代謝を促すホルモン等を分泌する臓器です。甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気を『甲状腺機能亢進症』と呼び、高齢の猫ちゃんで多く見られるホルモンの病気のひとつです。

【原因】

甲状腺機能亢進症の原因として、甲状腺の腺癌、腺腫、過形成等があります。

【症状】

高齢の猫ちゃんで食べているのに痩せてくる、以前に比べてお水を飲む量が増えた等の症状がみられる場合は注意が必要です。

【診断】

基本的には血液検査で甲状腺ホルモンの値が高くなっていれば甲状腺機能亢進症と診断できます。また、猫ちゃんによっては大きくなった甲状腺を触れる事もあります。

【治療】

内科治療と外科治療があります。

 

内科治療では甲状腺ホルモンの材料になるヨウ素を制限した療法食や、甲状腺ホルモンの分泌を抑える抗甲状腺薬を使用した治療法があります。

抗甲状腺薬を使用した治療法では、お薬を始めてから食欲不振等の副作用が出る事や、甲状腺機能亢進症によって隠されていた腎臓病が現れる事があるため投薬後は定期的な血液検査等のモニタリングが必要になります。

 

外科治療は甲状腺を摘出する事で根治的な治療を目指す事が出来ますが、全身麻酔のリスクや、摘出後に逆に甲状腺機能低下症になったり低カルシウム血症がみられたりする事があります。

当院では基本的に内科治療を実施しており、ほとんどの猫ちゃんはこれで良好に治療コントロールできることが多いです。

 

【まとめ】

甲状腺機能亢進症は高齢の猫ちゃんでよく認められる病気の一つです。

この病気は基本的に血液検査で見つける事が出来るため、8歳を超えた猫ちゃんは定期的な健康診断を行う事をお勧めします。

ご自宅の猫ちゃんが最近痩せてきた、お水を飲む量が増えた等の症状が認められた際はぜひ当院にてご相談ください。

獣医師 井戸俊佑